脳神経外科

特色　

　当科では脳腫瘍、脳卒中（脳血管障害）、脊椎脊髄疾患、頭部外傷、機能的疾患、小児疾患などの多くの分野で最先端医療を提供しています。
脳腫瘍については地域がん診療連携拠点病院として頭蓋底腫瘍などの手術困難な腫瘍に対しても多くの実績を有しています。
　脳卒中については脳神経内科と共同で脳卒中センターを運営し、急性期治療を24時間365日体制で担っています。未破裂脳動脈瘤に対する治療などの脳卒中予防治療にも積極的に取り組んでいます。
さらにパーキンソン病やジストニアに対する定位的深部刺激療法などに代表される機能的脳神経外科の分野においても近年特に力を注いでいます。
　私たちは、ひとりひとりの患者さんにとって最も有益な治療を提案し、時間の許す限り丁寧に説明をつくし、双方が十分納得した治療法を選択します。そして外科的治療（開頭手術や血管内手術）が最善の策である場合には、最新の知見をもとに、様々な最先端器機や技術を駆使して安全で確実な手術を提供いたします。

 主要疾患

1) 出血性脳血管障害：クモ膜下出血、未破裂脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳内出血など
脳動脈瘤（破裂, 未破裂）に対しては血管内手術（カテーテルの治療）と開頭クリッピング術とを個々の患者さまの病態に応じて、より安全で確実な方法を適切に選択し実践しています。脳内出血に対しては、開頭手術だけでなく神経内視鏡手術を積極的に行っています。脳動静脈奇形（AVM）については、AVMの治療に伴うリスクとAVMの出血のしやすさや患者さんの要因を慎重に検討して、予防的外科治療が患者さんにとって有益と判断された場合に、血管内手術を併用した開頭摘出術を行っています。
2) 虚血性脳血管障害：脳梗塞、頭蓋内血管狭窄症、頚動脈狭窄症など
脳梗塞に対しては急性期症例には急性期血行再建療法(rt-PA静注療法や血管内機械的血栓回収療法)を積極的に施行しており、血管内機械的血栓回収療法は大阪府下有数の実施数です。脳卒中予防治療にも力を注いでおり、頚動脈狭窄症に対して、症例ごとにステント留置術と頚動脈血栓内膜剥離術を適切に選択して実践しています。
3) 脳腫瘍：良性腫瘍（髄膜腫、下垂体腺腫、聴神経腫瘍など）、悪性腫瘍（悪性神経膠腫、悪性リンパ腫、転移性腫瘍など）
良性腫瘍では病変の最大限摘出と機能温存を両立することを基本方針としています。悪性腫瘍の場合には放射線治療や化学療法を併用した集学的治療を行います。つまり腫瘍の種類(悪性度)や患者さんの要因（年齢や合併症など）を総合的に判断し、患者さん一人一人の病状に合わせてQOLを重視したテーラーメイドの治療法を行います。
4) 脊髄腫瘍および脊椎変性疾患：脊髄腫瘍全般脊椎変性疾患
髄膜腫、神経鞘腫などの硬膜内髄外腫瘍、脊髄上衣腫や脊髄神経膠腫などの髄内腫瘍に対しても積極的に手術を行っています。脊椎変性疾患に関しては椎弓形成術, 前方固定術および椎間固定術を行っています。
5) 外傷
急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷性血腫に対する開頭手術、慢性硬膜下血腫に対する穿頭手術を行っています。
6) 小児疾患：水頭症、嚢胞性二分脊椎などの先天性奇形、脳腫瘍、モヤモヤ病
平成30年４月より「大阪府市共同 住吉母子医療センター」 がオープンし、 小児脳神経外科治療がより充実したものとなっています。小児脳神経外科専門医が在籍し、専門的な小児脳神経外科治療が行えます
7) 機能的疾患：パーキンソン病、ジストニア、頑痛、顔面けいれん、三叉神経痛、正常圧水頭症、痙性斜頚など
内科的治療では充分な効果が得られないパーキンソン病やジストニア振戦などに対して、定位的脳深部刺激療法（DBS）を行っています。また脳卒中後遺症や脳性麻痺などによる痙縮に対しては髄腔内バクロフェン療法（ITB療法）を、薬剤でコントロールできない難治性疼痛に対しては脊髄刺激療法（SCS）を行っています。
顔面けいれんや三叉神経痛に対しては、内科的治療にて満足する効果が得られない場合には微小血管減圧術を行うことにより安全に治癒が可能で当科では多くの実績があります。
高齢者の歩行障害、認知症、尿失禁などの症状の原因となる特発性正常圧水頭症に対して、CTやSPECTなどの画像診断と髄液排除試験（タップテスト）を行い、確実な診断を行っています。治療効果があると判断された場合には、シャント術を行い良好な結果を得ています。

主要検査

• 画像診断：CT、MRI、MRA、SPECT、PET-CT、脳血管撮影(DSA)、3D-CT脳血管撮影
• 電気生理検査：脳波、大脳誘発電位、聴覚誘発電位、神経モニタリング装置

診療実績

２０２２年　手術統計（手術総数３７８例）：脳腫瘍ないし脊髄腫瘍３７例。脳動脈瘤４２例(開頭クリッピング２６例、血管内コイリング術１７例)。脳および脊髄動静脈奇形３例。
血管内手術７９例（脳動脈瘤コイリング術１７例、頚動脈ステント留置術１７例、急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収療法３４例など）。
モヤモヤ病に対するバイパス術を含む血行再建術１１例、脳内血腫除去１７例、慢性硬膜下血腫を含む外傷性疾患８５例。
機能的脳神経外科（定位的脳深部刺激電極挿入術１４例やバクロフェン髄注療法５例　脊髄刺激療法２例など）２６例。

学会認定

• 日本脳神経外科学会認定専門医訓練施設
• 日本脳血管内治療学会教育訓練施設
• 日本脳卒中学会認定研修教育病院

診療科からのお知らせ

日本脳神経外科学会データベース研究事業（JND）に参加しています。
　平成３０年１月より日本脳神経外科学会が行っているデータベース研究事業に参加しています。原則として全ての脳神経外科入院患者様のデータを個人が特定されないように匿名化して電子的に登録します。脳神経外科学会ではデータを分析して医療の質の向上に役立て、患者様に最善の医療の提供を目指すことが目的です。詳細は以下の資料、脳神経外科学会ホームページをご覧ください。
　趣旨をご理解いただきご協力をお願いします。参加に同意されない場合は同意撤回書を提出してください。
　ポスター「脳神経外科学会データベース研究に対する協力のお願い」（ＰＤＦファイル）
　文書「脳神経外科学会データベース研究に対する協力のお願い」（ＰＤＦファイル）
「同意撤回書」（ＰＤＦファイル）

スタッフ

写真	職名	医師名	専門分野	学会認定など
	主任 部長	飯田　淳一 （いいだ 　じゅんいち）	脳腫瘍 脳動脈瘤 脳動静脈奇形 脊髄末梢神経外科	日本脳神経外科学会認定脳神経外科 専門医・指導医・代議員 日本脳神経外科学会近畿支部評議員 日本脳卒中学会認定専門医・指導医 ・代議員・評議員 日本脳卒中の外科学会技術指導医・代議員 神経内視鏡技術認定医 臨床研修医指導医 奈良県立医科大学臨床教授 ベストドクターズ社 Best Doctors in Japan 2022-2023
	副部長	玉置　亮 （たまき 　りょう）	脳神経外科全般 脳神経血管内治療	日本脳神経外科学会専門医 日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医 日本脳卒中学会認定専門医・指導医 日本脳卒中の外科学会技術指導医 日本脊髄外科学会認定医 脊椎脊髄外科専門医
	副部長	岸　文久 （きし 　ふみひさ）	脳神経外科全般 脳神経血管内治療	日本脳神経外科学会認定専門医 日本救急医学会救急科専門医 日本脳神経血管内治療学会専門医 日本脳卒中学会認定専門医 日本脳卒中の外科学会技術認定医 日本脳神経外傷学会認定指導医評議員 日本DMAT隊員
	医長	八重垣　貴英 （やえがき 　たかひで）	脳神経外科全般 機能的神経外科 （DBS・ITB・SCS)	日本脳神経外科学会認定専門医 機能的定位脳手術技術認定医 脳血栓回収療法実施医 バクロフェン髄腔内投与療法 （ITB療法）施行医 神経内視鏡技術認定医
	医長	山本　祥太 （やまもと 　しょうた）	脳神経外科全般 機能的神経外科 （DBS・ITB・SCS)	日本脳神経外科学会認定専門医
	診療 主任	田中　伯 （たなか 　はく）	脳神経外科全般 機能的神経外科 （DBS・ITB・SCS)	日本脳神経外科学会認定専門医 日本脳神経血管内治療学会専門医 バクロフェン髄腔内投与療法 （ITB療法）施行医 神経内視鏡技術認定医 機能的定位脳手術技術認定医 MRガイド下集束超音波治療器講習会修了
	診療 主任	砂田　拡 （すなだ 　ひろむ）	脳神経外科全般	日本脳神経外科学会認定専門医 日本脳神経血管内治療学会専門医
	医員	矢野　佑磨 （やの 　ゆうま）	脳神経外科全般	日本脳神経外科学会
	医員	河野　俊希 （かわの 　としき）	脳神経外科全般	日本脳神経外科学会

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