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患者のみなさまへ

手足のつっぱりに対する治療(ITB療法・ボツリヌス療法)

痙縮について

脳や脊髄のご病気をされたあと、手や足につっぱりが生じてお悩みの方へ。
その症状は、痙縮と呼ばれるものかもしれません。痙縮とは、脳や脊髄の異常により、自分の意思とは無関係に筋肉が縮んでしまう症状のことです。

痙縮があると、次のような不具合が起こります

  • 足首が内側にそりかえり(内反尖足といいます)、立つことができない。(生活への制限
  • 腕が外に開かず、服を着替えさせるのに苦労する。(介護への妨げ
  • 指が開けず、手が洗えない。
  • 手足が伸びきらないので、リハビリテーションが思うように進まない。
  • 手足を伸ばすときに痛みが生じ、ぐっすりと眠れない
  • まっすぐ横になれないため、肘や膝に褥瘡ができる。

以上のように、痙縮は患者様の生活・介護・リハビリテーションの妨げとなり得ます。
さらに、痙縮を未治療のまま放置しておくと、関節自体が固まってしまう拘縮へと移行する恐れがあり、早いうちから医師に相談することが勧められます。

痙縮に対する治療

痙縮に対する治療としては、飲み薬、注射、手術など、様々な治療があります。当センターでは、下記1~3に挙げるすべての治療に対応しており、患者様一人ひとりの症状に合わせて、リハビリテーション医や脳神経内科医とも相談しながら最適な治療を提供しています。

痙縮に対する治療としては、まずはバクロフェンというお薬を使用することになります。
このお薬には、飲み薬と髄腔内投与薬(3.ITB療法にて後述します)があり、症状が重くなければ、まずは体への侵襲が低い飲み薬から治療を開始することになります。
ただし、飲み薬の場合、髄腔内投与に比べて 薬の効果が届きづらく、症状が強い場合には効果が不十分であることもあります。

痙縮に対する治療で、次に多く行われているのがこの治療法です。
ボツリヌス菌という菌が生み出す物質を利用して、痙縮の強い部位に注射することで、症状を緩和することができます。薬の効果は3か月で消失するので、3か月ごとに外来で注射を行うことになります。
ただし、一回に使用できる薬の量が限られているため、手足ともに痙縮が強い場合(特に足や大胸筋などの大きな筋肉に強い痙縮が起こっている場合)、すべての痙縮部位をカバーできないこともあります。

手術による痙縮の治療です。
1で紹介したバクロフェンというお薬は、飲み薬では十分な量が届きづらく、症状が強くなると効果が不十分なことが多くあります。

それに対し、ポンプを使って脊髄の近くに直接お薬を届けることで、飲み薬の100分の1程度の投与量で効果を得ることができるとされています。
そのため、より強い痙縮に対しても治療効果を得ることができます。

手術を必要とする治療ですから、患者様にとっては不安も多いと思われます。
そこで、まずは検査入院(1~2泊)で薬を試していただき、効果の有無を確認することができます(※注1)。
局所麻酔をして、背中から脊髄腔内にお薬を注入し、薬の効き目があるかを確認します。お薬は24時間で効果が消退しますので、リハビリテーション技師と共に1日かけて効果を見ていくことになります。
検査入院の結果、ITB療法の効果が期待できると判断されたのち、手術を行うかどうか、改めてゆっくりと考えていただくことができます。


※注1
手術をしたあとは、機械を使って薬の投与速度を微調整し、一定に保つことができますので、下図の実線のように治療効果も安定して得ることができます。
対して、検査入院では注射器を使ってお薬を投与しますから、効果は下図の破線のように山なりに変化します。
そのため、薬の効果が少ない時間帯、ちょうどいい時間帯、効果が強い時間帯があり、特に効果が強い時間帯は力が入りづらくてしんどいと感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、翌日には薬の効果が切れますのでご安心ください。
検査は「薬によって痙縮症状に変化が見られたか」を確認することが目的です。
効果が得られる可能性があるなら、治療を検討する価値は十分にあると考えます。



手術は全身麻酔で行います。まず、背中側から背骨の中に、細いチューブを挿入します。次に、おなかの皮下脂肪のなかに、薬を入れるポンプ装置を入れて、背中側のチューブと接続します。手術の傷は約1週間で治りますので、抜糸が完了したら退院となります。

この手術を行うことで、お薬を脊髄の周辺に持続的に投与することができます。
投与速度は、リモコンを使って微調整ができます。
まずは少ない量からはじめて、少しずつ投与速度を増やし、ちょうどいい効果が得られるように調節していきます。
ポンプ内の薬剤は、3か月ごとに補充を行います。
調整や補充は外来で行いますので、入院は不要です。

ポンプに内蔵された電池は、5~7年ほど持ちます。電池がなくなったら、手術でおなかのポンプのみを交換することになります。こちらは、数日~1週間の入院で行えます。



その他の治療法としては、痙縮がある部分の神経を切断する、末梢神経縮小術なども挙げられますが、一度切断した神経は元に戻せないので、上記いずれの治療を行っても改善しない場合に検討することになります。

当センターでの治療

当センターでは、脳神経外科・脳神経内科・リハビリテーション科で協力して、総合的に痙縮治療に当たらせていただきます。

お困りの症状がある患者様は、お気軽に脳神経外科外来までお問い合わせください。かかりつけの先生からお問い合わせいただいても結構です。

また、脳神経外科では、上記の手術加療について無料相談会を定期開催しております。
詳しくは、こちらを確認の上、電話かFAXでお申し込みください。


大阪急性期・総合医療センター 脳神経外科
機能外科担当 八重垣 貴英