ページ内を移動するためのリンクです。
現在表示しているページの位置です。
患者のみなさまへ

パーキンソン病・ジストニア・本態性振戦に対する外科治療(DBS:脳深部刺激術)

はじめに

パーキンソン病・ジストニア・本態性振戦といった疾患は、様々な運動障害を引き起こし、患者様の生活の質を低下させます。

これらの疾患に対する治療の基本は、内科での薬物治療です。
しかし、症状によっては、内科的加療で十分な効果が得られない場合があります。
当科では、こうした疾患の治療の一環として、脳神経内科と協力のもと、脳深部刺激術(以下DBS療法)という手術を行っています。

DBS療法について

脳には、運動や行動をコントロールするために、体の動きに関するたくさんの情報が集まってきています。
脳の中では、体の動きに関するたくさんの情報が、細胞同士の電気的な会話(電気信号)によって伝えられています。
パーキンソン病の運動障害、振戦、ジストニアなどの症状は、これらのうち、いくつかの情報が正しくない状態で伝わっているために起こります。
DBS療法は、脳内の基底核という部位に電極を挿入し、電気刺激を行うことで、正しくない情報の伝達を遮断し、不随意運動等の症状を軽減するものです。

各疾患について

徐々に進行する原因が明らかでない神経変性疾患の一つです。
脳の基底核の一つである、黒質というところに存在するドーパミン細胞の減少により振戦(手足がふるえる)、固縮(関節が固く動きにくい)、寡動・無動(動こうと思っても体が重い)、などの運動症状が生じると考えられています。
治療には、ドーパミン製剤をはじめとした様々なお薬を使います。
初期段階では、少量の内服治療で症状が抑えられていますが、進行性の病気ですので、症状が進むにつれて薬が効きにくくなってきます。このような状態をWearing offといいます。
こうなると、お薬の量を増やしたり、複数のお薬を使うことになるのですが、量を増やしても、薬の効き目が切れる時間帯には、症状が悪くなり、症状の波が生じます(On-Off現象)。
また、薬の量が増えてくると、ジスキネジア(自分の意思に反して体が動く)をはじめとした副作用が生じてきます。
特にこういった状態に、DBS療法は有効と考えられています。
薬物治療にDBS療法を加えることによって、症状が悪い状態を底上げして、症状の波を軽減することが期待されます。
また、お薬の作用をDBS療法で一部肩代わりすることで、薬の量を減らすことも期待されます。

筋肉の緊張の異常によって様々な不随意運動や肢位姿勢の異常が生じる疾患です。
ジストニアには、様々な種類があり、それぞれに応じて適した治療法がありますが、いずれもまずは、内服治療から行います。ジストニアの種類によってはボツリヌス療法が有効な場合もあります。
それらの薬物治療を検討したうえで、DBS療法についても考慮される場合があります。

原因となる病気がなく、MRIなどの画像診断でもはっきりした異常を認めないのに、原因不明の振戦(ふるえ)が生じる疾患です。
β遮断薬や抗けいれん剤などの内服治療が行われます。内服治療で効果が不十分な場合や、副作用のため内服が困難な場合にDBS療法が考慮されます。

当センターでの治療

上述のように、いずれの疾患も、まずはお薬での治療が第一であり、手術については患者様一人一人の病状に合わせて慎重に検討していくことが大事であると考えます。
また、手術後は、脳神経内科での投薬治療に加えて、脳神経外科での刺激調整を外来で受けていただく必要があります。

当センターでは、脳神経外科と脳神経内科が共通の病棟及び外来で協力して診療を行っております。
互いに連携体制をとることで、患者様の症状緩和に努めさせていただきます。

お困りの症状がある患者様は、お気軽に脳神経外科外来までお問い合わせください。かかりつけの先生からご紹介いただいても結構です。

また、脳神経外科では、上記の手術加療について無料説明会を定期開催しております。
詳しくは、こちらを確認の上、電話かFAXでお申し込みください。

大阪急性期・総合医療センター 脳神経外科
機能外科担当 八重垣 貴英