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患者のみなさまへ

もやもや病

もやもや病とは

もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)は、両側内頚動脈終末部に進行性の狭窄を生じ、小児の脳卒中の原因として重要なものです。特徴として、病状の進行に伴い側副血行路としてもやもや血管という、異常血管網が脳底部に発達します。

もやもや病の診断と検査

MRI、MRAまたは脳血管撮影(カテーテル検査)にて診断されます。
右図:MRAにて両側内頚動脈終末部に閉塞、その周囲に異常血管網(もやもや血管)を認めます。

SPECTという脳血流検査で脳虚血病態を評価し、外科的治療や手術方法を決定するために行います。
また、MRIで造影剤を用いないarterial spin labeling法(ASL)法にて血流評価を行うこともあります。

発症時期および症状

10歳未満の小児期に大きなピークが認められ、一般的に、小児例は脳梗塞あるいは一過性脳虚血発作で発症(虚血発症)します。涕泣、熱い物の摂取、管楽器の演奏など過換気が誘因になって片麻痺や失語症状などを来すことが知られています。
そのほか、頭痛、不随意運動、てんかんなど多彩な症状を呈することがあります。
また、成人期(30歳代後半〜40歳代)にもう1つのピークがあり、虚血発症の他に頭蓋内出血で発症することが特徴です。

治療法

虚血症状を呈するもやもや病に対しては、外科的血行再建術が勧められます。
外科的血行再建術には直接的血行再建術と間接的血行再建術とがあり、年齢、病態に応じて単独もしくは複合して最も効果的で安全な方法を選択します。

直接的血行再建術は、頭蓋外血管を直接、頭蓋内血管に吻合することで脳血流を改善させる方法で、主に浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術が行われます。
間接的血行再建術は硬膜、側頭筋などの有茎組織を脳表に接着させて行う方法で、広範囲の血流の改善が期待できる反面、新生血管の発達に数ヶ月単位の時間を要します。主に小児症例に用いられます。

周術期の管理は非常に重要で、虚血発作を誘発する、血圧の変動や脱水、貧血、過換気(涕泣)に留意する必要があります。病態により、抗血小板剤療法も併用します。
成人の出血発症例に対しても、本邦から直接もしくは複合血行再建術が再出血予防に有用であることが報告されています(JAM Trial)。

手術所見(直接血行再建法) 手術所見(間接血行再建法)
直接血行再建法

浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術

間接血行再建法
  • 図11. 血管(動脈)を温存した筋肉組織を翻転し、開頭し硬膜を露出しています。
  • 図22. 中硬膜動脈(硬膜上の血管)を温存し、切開した硬膜を脳側へ折り込んで、脳表を露出しています。
  • 図33. 脳表に動脈付きの筋肉組織を圧着縫合します。