低侵襲心血管治療センター
特色
『最先端の低侵襲治療を世界水準で。』
心臓血管外科分野においては、カテーテルを用いた低侵襲治療の進歩が著しく、大動脈疾患、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症においては、治療選択肢が劇的に変化してきております。
当院は、1993年に本邦初、世界初のステントグラフト手術を導入しており、心血管疾患に対する低侵襲治療の先駆者であり、2012年4月に、低侵襲心血管治療センターが開設となりました。
1998年には、本邦でも初となる手術室に透視装置を据え付けたハイブリッド手術室を整備しております。2005年の透視装置のリニューアルを経て、2018年4月には、ハイブリッド手術室が新たに造設されました。
最新のカテーテルを用いた心・大血管治療に、さらに積極的に取り組み、通常の手術が困難と考えられる高齢の患者様や、様々な合併症を有するハイリスクの患者様に対し、出来るだけ負担が少なく、QOL(生活の質)を損なわない、安全かつ確実な治療を心がけて参る所存です。2006年に企業製のステントグラフトが保険認可されて以来、大動脈疾患に対するステントグラフト治療は一気に拡大し、現在では、一般的な治療法として浸透してきておりますが、当センターはステントグラフト治療発祥の病院として、豊富な経験値のもと、質の高い治療が提供可能と自負しております。また、2014年には経カテーテル的大動脈弁移植術(TAVI, Transcatheter Aortic Valve Implantation)も早くから取り入れ、本年4月には累計200例を経験するに至りました。更に、2019年1月にはMitraClipの治療を開始し、僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療も選択肢のひとつとして加わりました。
これらのカテーテル治療に加えて、僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁疾患、大動脈弁疾患等の弁膜症や心房中隔欠損などの先天性心疾患、心臓腫瘍に対する、右前胸部の小さな切開で行う、早期社会復帰が可能で美容的なメリットの大きいMinimally Invasive Cardiac Surgery (MICS)手術もハイブリッド手術の利点を生かしつつ行っています。狭心症などの虚血性心疾患に対する左小開胸のMICS-CABG(冠動脈バイパス術)も施行しており、あらゆる低侵襲心臓手術に対応可能となっています。
・ハイブリッド手術室
・超高齢、高度COPD合併の症例にて、人工心肺を使用せずに弓部大動脈瘤と冠動脈狭窄の治療を行いました。
(Total debranching TEVAR+OPCAB(LITA-LAD))
・胸腹部大動脈瘤に対するSandwitch techniqueを用いたカテーテル治療
・TAVIで用いる人工弁
Balloon expandable type self-expandable type
・TAVIの方法
経大腿動脈アプローチ 経心尖部アプローチ
現在9割以上、経大腿動脈アプローチになっております。
・MitraClip
僧帽弁に対する低侵襲治療
2019年1月より、重症の僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対するカテーテル治療『経皮的僧帽弁接合不全修復システム』(マイトラクリップ)実施施設となりました。
器質的MRと機能的MRともに治療可能となっております。
第一選択である外科手術のリスクが高い方が適応になります。ハートチームで協議しハイブリッド手術室で手術を行っております。
また、通常の僧帽弁形成術に対しても、傷の目立たない右小開胸アプローチ(MICS(ミックス)手術)も施行しています。
右小切開僧帽弁形成術後の創部写真
主要疾患
- 大動脈弁狭窄症
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 大動脈瘤(胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、大動脈解離、外傷性大動脈損傷)
- 虚血性心疾患(狭心症など)
診療実績
2022年
・大動脈疾患
胸部大動脈 94例 (うちステントグラフト内挿術 42例)
腹部大動脈/腸骨動脈 57例 (うちステントグラフト内挿術 49例)
・経カテーテル的大動脈弁移植術(TAVI) 70例
・経皮的僧帽弁接合不全修復システム(マイトラクリップ)23例
・MICS手術 10例
学会認定
- 日本外科学会外科専門医制度修練施設
- 3学会構成 心臓血管外科専門医認定修練基幹施設
- 関連11学会構成 胸部大動脈瘤ステントグラフト実施施設
- 関連11学会構成 腹部大動脈瘤ステントグラフト実施施設
- 経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会専門施設
- 経皮的僧房弁接合不全修復システム認定施設
診療科からのお知らせ
- TAVI実施症例 400例を超えました。
- 経皮的僧帽弁接合不全修復システム(マイトラクリップ)開始しました。(2019年1月)。
- MICS手術を開始しました。(2019年4月)
スタッフ
低侵襲心血管治療センター
センター長 白川 幸俊 (心臓血管外科主任部長)