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患者のみなさまへ

腎(透析)センター

センター長 林 晃正

(透析)センタ-の概要 

 わが国における透析導入患者数ならびに維持透析患者数は未だ増加の一途であり、日本透析医学会の調査では、2021年末の時点で約35万人が維持透析を受けています。また、わが国では、腹膜透析ならびに腎移植の患者数が極端に少ない (選択率が低い)ことが特徴であり、腎代替慮法選択説明が十分に実施されていないことが問題となっています。
 腎センタ-は2008年12月に「大阪市南部地域中核病院として、腎疾患および諸疾患に合併する腎障害の総合的診療、ならびに様々な疾患に対する血液浄化療法を包括的に提供する」ことを目的に、腎臓・高血圧内科、泌尿器科、両病棟ならびに外来・透析室スタッフを中心に設立されました。当初は適切・安全・計画的な腎代替療法導入と地域の維持透析患者の合併症治療中の臨時透析の実施、腎移植患者や免疫・神経・消化器など様々な疾患に対する各種血液浄化療法の提供、さらには集中治療室等で発生する急性腎障害に対する急性血液浄化療法の施行などがその業務の中心でしたが、2011年以降、「慢性腎臓病対策外来」の新設、「腎代替療法選択外来」の刷新、「腹膜透析準備外来」の新設など様々な取り組みを行っており、さらに2012年12月には人工透析室に隣接して腹膜透析外来診察室 (2診)、検査室、指導室、講義室が完成したことで、当科が目指す「腎疾患に対するト-タルケア」が実践できる環境が整いました。

主要疾患の対策と支援

慢性腎臓病対策外来 

 慢性腎臓病は適切な介入 (薬物療法と食事療法)と自己管理により、その進行を抑制することが可能であり、近年薬物治療の進歩により、寛解に持ち込むことも可能となっています。ただし慢性腎臓病の原因は様々であり、患者の年齢や合併症により、使用する薬剤や投与量さらには蛋白制限の程度など、きめ細かな調節が必要です。通常の外来診療では個別治療に十分な時間をかけることができないため、2011年12月より慢性腎臓病対策外来を開設しました。慢性腎臓病対策外来では知識を得るための講義ならびに食事指導を含めた個別指導を行っており、慢性腎臓病の進行抑制に大きな役割を担っております。
 残念ながら、慢性腎臓病対策外来については、2022年も昨年同様COVID-19感染対策を優先し、開催は中止しました。

腎代替療法への充実した支援とShared Decision Making (SDM)

 腎代替療法選択は、その後の患者の生活の質、ライフスタイルに影響を与えるのみならず、生命予後にも大きく影響するため、十分な時間をかける必要があります。月2回開催している腎代替療法選択外来では、専門医師ならびに看護師が血液透析と腹膜透析ならびに腎移植について、詳しく説明しています。さらに腹膜透析や腎移植に興味を持たれた場合は、それぞれ腹膜透析準備外来、腎移植相談外来を受診していただき、より専門的・具体的な説明を行っています。2022年も腎代替療法選択外来ならびに腹膜透析準備外来は感染対策を徹底しつつ開催し、腎代替療法選択外来受診患者数は72名と昨年 (62名)より増加しました。一方、腹膜透析選択患者数は2022年も5名 (昨年7名) と、2020年以降減少が続いており、先行的腎移植も5名 と昨年 (3名)同様でした。

人工透析室実績 

 腎センタ-の主要な役割である維持透析患者の合併症治療の充実を図るため、2012年5月より透析室は月・水・金を2ク-ルとし、合併症に対する検査や治療のための維持透析患者の受け入れ枠を増枠しました。その結果、2019年までは年間血液透析施行件数は5,000件近くまで増加していましたが、COVID-19感染の影響さらには10月31日に発生したランサムウェアによる電子カルテシステム障害が大きく影響し、2022年は3,462件と昨年 (3,933件)よりさらに減少しました。2022年に検査や治療のため近隣の透析病院から受け入れた維持透析患者数は382名であり、昨年 (415名)より大幅に減少しました。なお、患者数の多い診療科は心臓内科136名 (昨年133名)、消化器内科66名 (昨年72名)、心臓血管外科29名 (昨年30名)と例年どおりでした (その他、消化器外科25名、整形外科23名、泌尿器科19名、脳神経内科16名)。
 病棟透析は506件と昨年 (466件)に比してやや増加しましたが、以前の数字(600件前後)には戻っておらず、やはりCOVID-19感染ならびに電子カルテシステム障害による診療制限が影響した結果と言えます。一方、維持透析患者のCOVID-19重症肺炎やCOVID-19感染に伴うAKIなどの症例に対して、集中治療下での血液透析も多数実施しました。
 今後も患者中心の腎代替療法選択・導入、腹膜透析・腎移植の推進、維持透析患者の検査・合併症治療中の安全な透析の実施、さらには腎疾患以外の免疫・代謝疾患に対する各種血液浄化療法提供のため、豊富な経験に最新の知識を加え、最良の血液浄化療法を提供できるようスタッフ一同努力をしていきたいと思います。

過去10年間の腎センタ-実績

過去10年間の腎センタ-実績