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患者のみなさまへ

呼吸器内科

特色 

 内科は歴史的に一つの総合内科でしたが、2012年4月より、主に肺がんやCOPD、間質性肺炎を中心とした呼吸器疾患を診療する呼吸器内科として独立しました。
 地域がん診療連携拠点病院として、呼吸器外科や放射線治療科と協力して肺がんの集学的治療を行う一方、肺がんの標準的治療の確立に向けて臨床研究を行っています。また緩和ケアチームと共に、がん告知の問題や緩和ケアにも積極的に取り組み、QOL最優先のオーダーメイド医療を推進しています。
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎、呼吸器感染症等でも、病診連携を重視する診療活動を行っています。
 病床数は40床で呼吸器外科および総合内科と同じ8階西病棟にあり、協力体制をもちながら診療に当たっています。 

主要疾患

  • 肺がん
  • COPD
  • 間質性肺炎など
  • 肺炎などの呼吸器感染症
  • 自然気胸

など

主要検査

 2022年の気管支鏡検査・治療は224件でした。主に入院の上(1泊2日)、感染症対策のため陰圧の透視室で検査を行っています。肺結核が疑われる場合や安全に施行できると思われる患者は外来でも施行可能です。呼吸機能検査は、COPD、気管支喘息、間質性肺炎等の疾患での病状評価のために行われています。またこの検査は、呼吸器機能障害の認定にも必要です。
 一酸化窒素濃度(NO)測定はCOPDと気管支喘息の鑑別の補助診断として有用です。当センターの免疫リウマチ科や小児科と共同で機器を利用しています。

診療実績

1.肺がん
 初診患者は呼吸器内科が気管支鏡検査を中心とした診断・病期決定を行った後に、呼吸器外科、呼吸器内科、放射線治療科、画像診断科、病理科がCancer Boardでカンファレンスをもち、協同で集学的治療を行っています。
さらに総合医療センターとしての利点を生かして、腎不全や精神科疾患合併の肺癌患者の化学療法、骨や脳転移合併患者の集学的治療や喀血等のoncologic emergency等に対応可能です。
 2022年の呼吸器内科入院患者は全体でのべ861名でした。
肺がんおよび肺がん疑いの入院は549名でした。そのうち初回治療目的の入院患者は122名、再入院患者が227名でした。また検査目的の入院は200名でした。
 初回治療目的の入院患者122名のうち腺がんは47名、扁平上皮がんは21名、小細胞がんは19名などで、例年と同様に肺腺がんが最も多かったです。(図1参照)
2019年からは新しい外来化学療法室がオープンしました。入院治療より外来治療へ徐々にシフトさせて病床稼働率の緩和と患者さんのQOL向上を図っています。2022年の外来化学療法はカルテベースでのべ861名でした。
 近年の肺がん治療の進歩は目覚ましいものがあります。小細胞肺がん限局型では、多分割放射線療法と化学療法の組み合わせを行なっています。小細胞肺がん進展型では、従来の化学療法に加えて免疫療法の併用が行なわれるようになり、治療成績の向上が期待されます。非小細胞肺がんに関しては、基本的にI・II・IIIA期は手術で、IIIB・IV期には新規抗がん剤を中心とした化学療法や分子標的治療および放射線療法で対応しています。化学放射線治療後に免疫療法剤を追加投与する場合があります。また免疫療法剤が非小細胞肺がんに保険収載され、適応のある症例には単剤使用のみならず、化学療法と併用して使用しています。免疫療法剤には、自己免疫疾患に似た副作用の出る可能性がありますが、総合医療センターの強みを生かして副作用対策に当たっています。
 最近は患者に優しい医療が進歩してきている一方、個別化医療が積極的に行われるようになっています。特に腺がんにおいて、特定の遺伝子異常(EGFR ALKなど)のある患者さんに関して、分子標的薬が劇的にQOLを改善し延命効果をもたらすことが明らかになってきており、当科でも積極的に遺伝子検査を行っています。

 

 初回肺がん入院患者

   

2.肺炎などの呼吸器感染症
 呼吸器感染症は、微生物検査室の迅速性を生かして、一般市中肺炎から肺真菌症、ニューモシスチス肺炎など広範囲な病原微生物に対応しています。2022年の肺がん以外の患者312名のうち69名を肺炎・肺膿瘍患者が占めました。
 肺結核は基本的には外来の時点で診断し結核専門病院へ紹介していますが、時に鑑別困難で入院となった場合には呼吸器内科が中心となって診療しています。

3.呼吸不全
 特発性間質性肺炎などの慢性呼吸不全やCOPD、陳旧性肺結核などの高炭酸ガス血症を伴うⅡ型呼吸不全に対しては、酸素療法(HOT)や非侵襲的陽圧換気(NIPPV)の導入を、クリニカルパスを用いて積極的に行っています。また、        2016年よりネーザルハイフローを用いたハイフローセラピーを導入しました。ARDSなどの急性呼吸不全は救命救急センターあるいはICUで集中治療されますが、呼吸器内科病棟でも一部可能です。

 呼吸不全の基礎疾患であるCOPDと特発性肺線維症に関しては、患者さんにわかりやすいパンフレットを用意して説明を行う一方、臨床治験や禁煙活動と幅広い診療を展開しています。

4.その他
 気胸や胸膜炎などの疾患に対しての胸腔ドレナージは、2022年は33名に施行されました(気胸が22名、膿胸+胸膜炎が11名)。このような疾患では呼吸器外科との協働診療が必要な場合も多く、8階西病棟に呼吸器外科・内科が集結している意義は大きいと考えます。

呼吸器内科入院患者

学会認定

日本呼吸器学会専門医研修基幹施設
日本呼吸器内視鏡学会認定施設

スタッフ

写真職名医師名専門分野学会認定など

うえのきよのぶ

主任部長 上野 清伸
(うえの
 きよのぶ)
呼吸器内科学
腫瘍内科学
肺癌
  • 日本内科学会総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医
  • がん治療認定医
  • 大阪大学医学部臨床教授
  • 身体障害者指定医(呼吸器)
やがもと 診療主任

矢賀 元
(やが
 もと)

呼吸器内科学
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会専門医
  • 大阪府難病指定医
たなかさとし 診療主任

田中 智
(たなか
 さとし)

呼吸器内科学
  • 日本内科学会認定医
  • 日本呼吸器学会専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医
  • がん治療認定医
とびたさとし 医員 飛田 哲志
(とびた
 さとし)
呼吸器内科学

 

あさかわりょう 医員 朝川 遼
(あさかわ
 りょう)
呼吸器内科学  
よしむらのぶあき 医員

吉村 信明
(よしむら
 のぶあき)

呼吸器内科学  

診療科からのお知らせ

 肺がんは診断から治療開始まで少し時間がかかる疾患ですが、小細胞肺がんのように治療開始が遅れると急速に重症化するタイプや、骨痛や脳神経症状を初発症状として受診される患者さんは放射線治療などが劇的にQOLを上げる場合もありますので、肺がんを疑われたら至急当科へご紹介ください。
 また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、西日本がん研究機構(WJOG)のプロトコールに沿った新しい治療法を積極的に行っています。いずれの治療においてもすべて、患者および家族から文書によるインフォームド・コンセントを得たうえでQOLを重視した医療を心がけています。

診療予定表

*週間スケジュール
火曜日:気管支鏡検査(13:00~)、キャンサーボード(肺がん合同カンファ)
水曜日:回診(15:00~)
木曜日:臨床セミナー、
金曜日:気管支鏡検査(13:00~)

リンク先

リンク名称URL
大阪大学免疫アレルギー呼吸器内科 http://www.imed3.med.osaka-u.ac.jp/
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG) http://www.jcog.jp/
西日本がん研究機構(WJOG) http://www.wjog.jp/