診療情報管理室
情報資産の活用で、臨床部門と病院管理部門の橋架け
診療情報管理室は、入院診療録と診療情報を中央管理する部門として1972年に開設しました。電子カルテ導入を経た現在では診療情報の適切な作成と保管や、医療機能や医療安全対策の質向上、当センターの運営といった多様な品質管理に携わっています。新任医師をはじめ医師事務作業補助者等の指導や、経営部門への情報提供、臨床評価指標の作成と公表、スキャンセンターの運営なども当室で担っています。
また、近畿地方の診療情報管理に関する研究会「近畿病歴管理セミナー」の幹事施設にもなっています。
INDEX
スタッフ (2023年4月1日)
- 医療情報部長兼室長(医師) 1名
- 診療情報管理士 15名
- スキャンセンター事務 6名
- 事務補助 3名
主な業務について
- 診療情報管理
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診療関連記録の作成支援、質的・量的点検、紙の記録管理といった、作成から保管や二次利用まで一貫して取扱っています。保管する入院診療記録は、1968年から電子カルテ導入までの40年間分で33万を超え、診療や研究、書類作成、開示などにいつでも利用できるよう管理しています。 2015年からは、紙や電子を問わず当センターの診療関連記録として扱う全てを明確にし、診療記録文書統合管理(DACS)をコンセプトとした管理体制を講じています。
- 退院患者の疾病分類
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全ての入院患者に「疾病及び関連保険問題の国際疾病分類(WHO)」に基づいた疾病分類を行っています。当室発足時より退院患者統計などに利用していますが、近年は認定医申請や研究の目的による症例抽出の相談への対応など、活用機会が増大しています。
2000年には、ICD9からICD-10への切り替えをし、2017年の退院患者からはICD-10(2013年版)を用いています。ICD-11やICHIなどの新たなWHO-FICの体系についても業務利用に着手しました。 - 院内がん登録
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1998年に大阪府の地域がん登録に準じてがん登録を開始しました。現在は、がん登録システムに登録した情報は、医師と診療情報管理士が相互にチェックすることで精度担保を講じています。ケースファインディングシステムの導入によって、2008年の新規診断症例からは効率的に漏れのない登録が可能になっています。2015年からは相対生存率統計など、情報利用を強化しています。
- DPC コーディングの支援
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患者さんが退院するまでに、医事会計業務とは異なる視点でDPCコーディングが妥当であるか検討し、決定の支援をおこなっています。
- 医療情報システム
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関係する法令やガイドラインを考慮し、システム改善やICTの活用に取り組んでいます。
働き方改革の視点でも部門横断的な支援役になっています。 - NCD(NationalClinicalDatabase)
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外科系症例データベース事業への手術データの登録、データのセンター内での保存、活用を行っています。詳細はコチラ
- 分析・統計
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年報などの基本統計や、医療従事者の研究に必要なデータの提供を行っています。
近年、診療情報管理の世界では病院運営、経営への直接関与が職制として盛んになっています。当室でもセンター全体を現場から一歩引いた視点で行う自由分析を業務にしています。単に収支に関してではなく、医療サービスの提供や組織としての社会的責任に関する視点を持つことを考えています。 - 臨床評価指標
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臨床評価指標の収集、分析、公表を繰り返すことで、医療や病院運営の質の向上に継続的に取り組んでいます。
- スキャンセンターの運営
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電子カルテ導入後も、紙で作成される記録用紙が1日に約1,600件発生していますが、それらはスキャンして電子カルテで閲覧できるようにしています。スキャンに関する中央業務部門(スキャンセンター)の機能も備えており、病棟等で行われるスキャン業務の調整も担っています。
我々が目指す診療情報の統合管理
当センターの病院総合情報システムは大小様々なシステムが相互に接続された部門分散型で構成され、医業を行ううえでの安全対策や情報共有などに多大に寄与しています。その一方で、診療情報は多数のシステムに分散し、システムの操作に習熟した者でも漏れの無い把握は容易ではありません。
我々は診療記録文書統合管理システム(DACS;Document Archiving & Communication System)という考え方を基盤として、保管すべき診療情報をドキュメント化して一元管理し、診療や長期保管だけでなく、量的な管理や二次利用に展開しています。カルテ庫のデジタル化をイメージしてください。
診療情報地域連携システム(万代e-ネット)を介して、かかりつけ医が閲覧する当センターの診療情報は、DACSを経由する過程で一般性のある名称に変換しています。
臨床評価指標(Clinical Indicator/Quality Indicator)の公表
各種の臨床評価指標の作成や公表を担当しています。
臨床評価指標(Clinical IndicatorまたはQuality Indicator)とは、病院の様々な機能について適切な指標を用いて表したものです。これを分析・公表し、改善につなげることによって、自施設の医療サービスの質の向上をめざすものです。当室で作成している各種統計資料も併せて、下記のページに掲載しています。
学生実習の受入について
診療情報管理士の養成校から学生の実習を受け入れています。
他の臨床の専門職の様に、スタッフの傍らに学生をつけた”シャドー研修”のようなスタイルをとることが難しい業態です。短期間の実習では多くを経験してもらうことはできませんので、関与の深い要素を優先的に盛り込んだスケジュールでパス化しています。実際に実習にきてくれた学生の感想やカリキュラムの実態も取り入れ、有意な経験の提供ができるよう考えています。
実習依頼の増加に伴う公平性のため、受付開始やニーズの多い夏季の対応について整理しました。
以下をご確認ください。
- 2024年度
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・2024年4月1日から受け付けします。
当センター在職中の診療情報が必要な退職者の方へ
退職後にも、専門認定などの正当な目的で当センターが保有する診療情報の閲覧が必要な場合があります。 当センターの定める「退職者および第三者による診療情報閲覧申請要項」に基づいて手続きをお願いしていますので、専用ページで確認してください。