ページ内を移動するためのリンクです。
現在表示しているページの位置です。
患者のみなさまへ

放射線治療科

放射線治療システム休止のお知らせ

特色

 当科は昭和44年にコバルト治療装置の導入と同時に今と同じ“放射線治療科”として発足した古い歴史があります。当時としては日本国内でも他に聞かない名称であり、また南に行けば和歌山に至るまで放射線治療装置がなかったそうです。現在は3代目のリニアック“ノバリスTx”および小線源治療装置が稼働しています。
 放射線治療は、手術、化学療法と並んでがん治療の大きな柱の一つです。放射線治療は手術と同様に局所治療ですが、異なることは機能や形態をそのまま温存した体にやさしい治療であることです。一般には必要な量を数十回に分割して照射しますが、定位照射では1回から5回程度で治療終了することもあります。特にNovalisTxは高精度治療に優れた装置で、定位照射(いわゆるピンポイント治療)やIMRT(強度変調放射線治療)には大きな威力を発揮します。
 放射線治療の目的としては大きく2つに分かれます。1つは根治治療で、機能・形態を温存した状態でがんの治癒を目指します。もう1つは緩和治療です。がんが進行し根治が難しくなった場合でも、がんを縮小させて延命を目指した治療をする場合や、がんによる症状を緩和する目的で用います。近年では、オリゴ転移(数個の転移病巣の状態)に対して局所の放射線治療を駆使することで、長期制御が目指せる疾患が増えてきています。
 放射線治療に薬物治療や手術などを併用した集学的治療を行う疾患も増えています。特に最近のトピックスとしては免疫治療が導入され、標準治療が劇的に変化してきています。この免疫療法は放射線との併用による相乗効果が期待され、今後ますます放射線治療の重要性が増していくのではと考えています。

主要疾患

頭頸部がん(喉頭がん、咽頭がんなど)、肺がん、乳がん、
食道がん、子宮がん、前立腺がん、直腸がん
転移性骨腫瘍・転移性肺腫瘍・転移性肝腫瘍
頭蓋内腫瘍(転移性脳腫瘍、神経膠腫、聴神経腫瘍、髄膜腫、頭蓋咽頭腫など)

医療設備

リニアック(Novalis Tx)、治療計画用CT(Aquilion LB)、高線量率小線源治療装置(microSelectron)

診療実績

 2011年からNovalis Txを用いて高精度放射線治療を行っています。2021年に放射線治療を行った症例は522例でした。疾患別では原発部位でみると、肺がん161例(脳転移、骨転移を含む)、頭頚部がん73例(喉頭がん、咽頭がん、口腔がんなど)、乳がん89例(脳転移、骨転移を含む)、泌尿器がん76例(前立腺がん・膀胱がんなど)、女性生殖器がん31例(主に子宮がん)、消化器がん50例(主に食道がん・直腸癌がん)が主な対象疾患でした。

図1 原発部位別治療患者数

図1

高精度治療について 

 2011年から“Novalis Tx”を用いて高精度治療を行っています。脳・肺・肝などに対する定位照射、前立腺がん・頭頸部がん・肺がんなどに対するIMRT(強度変調放射線治療)を行っています。IMRTは全例で照射時間を短縮したVMAT(回転型IMRT)での治療を行っています。
 2021年に行った高精度治療の内訳は、脳定位照射28例、肺定位照射35例、前立腺IMRT45例、頭頸部IMRT 61例、脳神経IMRT10例、肺・縦隔IMRT66例、その他のIMRT(直腸・子宮など)19例でした。



図2 高精度放射線治療件数
図2

“Novalis Tx”

ノバリスTX

小線源治療について

 2011年から高線量率小線源治療装置を用いた子宮頚がん腔内照射を行っています。腔内照射では、治療に伴う痛みを軽減するため、ほとんどの方で鎮痛・鎮静下に行っています。2021年に行った小線源治療(腔内照射)の件数は24例でした。

図3 小線源治療件数
図3

RI内用療法について

 内分泌療法抵抗性の骨転移を有する前立腺がんに対してゾーフィゴ㊟(Ra223)が保険適応となっています。飛程距離の短いアルファ線を用いた治療薬です。通常4週毎に6回の治療(静注)が必要です。2021年は4例に行いました。

緩和的放射線治療について

 当センターでは年間約80人程度の方が症状緩和目的に放射線治療を受けられています。疼痛緩和目的が多いですが、上大静脈症候群・気道狭窄・脊髄圧迫などの症状緩和が目的になることもあります。
図4

骨転移・脳転移に対する放射線治療について 

 骨転移では疼痛緩和目的が圧倒的に多いですが、病的骨折を回避する目的にも行います。近年では、オリゴ転移の骨転移巣に根治的な線量投与を行い長期制御を目指すこともしばしば行われています。特に脊椎転移に対しては定位放射線治療により緩和照射から根治照射へと治療戦略の劇的な変化が起こっています。
 脳転移は定位照射を用いることで局所制御がかなり改善し、2cm以内の脳転移であれば手術に匹敵もしくは上回る成績となっています。脳転移の特徴は、頭蓋内に多発することが多いですが、多発する場合でも定位照射は有効で、全ての転移巣を一気に治療することが可能です。

図5

脊椎転移に対する定位放射線治療

 脊髄(神経)をくり抜いて照射することで、ターゲットには高線量投与が可能となり、疼痛緩和だけでなく腫瘍制御を目指します。

定位放射線治療

多発脳転移に対する定位放射線治療

 10個程度の転移病巣に対しても、全てを一気にピンポイント照射することが可能です。

多発脳転移に対する定位放射線治療

学会認定

日本医学放射線学会放射線科専門医総合修練機関
日本放射線腫瘍学会認定A施設

スタッフ

写真職名医師名専門分野学会認定など
しまもとしげとし 主任
部長
島本 茂利
(しまもと
 しげとし)
  • がんの放射線治療
  • 日本医学放射線学会放射線治療専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
ふみもとやすとし 医員 文元 泰俊
(ふみもと
 やすとし)
  • がんの放射線治療

 

診療科からのお知らせ

 放射線治療と一言で言っても、様々な治療方法があります。複数の治療方法がある場合、他施設とも連携し、最適な放射線治療を受けていただくよう努めています。

リンク先

リンク名称URL
大阪大学医学部附属病院 放射線治療科 http://www.radonc.med.osaka-u.ac.jp/