障がい者歯科
特色
障がいがあるために一般の歯科医療機関では治療の難しい方を対象にしています。総合病院の中にあることを活かして、他科と協力した治療が行いやすくなっています。常勤歯科医師4名と歯科衛生士、看護師で診療を行っています。
対象となる障がい
自閉スペクトラム症などの発達障がい、知的能力障がい、ダウン症候群、脳性麻痺、脳血管障がい後遺症、脊髄損傷や頭部外傷の後遺症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、高次脳機能障がい、認知症などの障がいがあるために歯科治療が難しく、当科に紹介された方を対象にしています。
- 治療困難のため他の医療機関(歯科、医科)より紹介された方
- 身体障がい者手帳1級、2級または療育手帳Aを交付されている方
これよりも軽度な障がいであっても、てんかん、心臓疾患、人工透析など重度な合併症を有する方は対象となります。 - 就学前の通園施設等に通う障がいのある子ども
主要検査
歯科診察台に寝たままで撮影できる臥位パノラマX線検査、デンタルX線検査
診療実績
2022年1月から12月までの延外来患者数は4,619人、初診患者数は107人でした。外来の新規患者数は62人で、障がい別では、知的/発達障がい者が最も多く62.9%、身体障がい者が6.5%、身体+知的/発達障がい者が17.7%でした。
外来 | 自立センター* | 入院中** | 計 |
---|---|---|---|
62 | 17 | 28 | 107 |
* 大阪府立障がい者自立センターの入所者
**当院入院中に他科より紹介された方
身体障がい | 身体+知的 | 知的障がい* | 精神障がい** | 精神+身体 | その他*** |
---|---|---|---|---|---|
4 | 11 | 34 | 5 | 2 | 6 |
*自閉スペクトラム症などの発達障がいを含む
**高次脳機能障害を含む
***歯科恐怖症など
当科は重度の障がい者を対象としており、治療への理解と協力を得にくい知的/発達障がい患者や、不随意運動のある脳性麻痺患者などでは、心理的アプローチを用いた行動調整による通法での歯科治療は困難なことが多いです。体動をコントロールして安全な治療を行うための行動調整として、固定装置を用いた体動抑制、笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法などの精神鎮静法、もしくは全身麻酔法を使用しています。行動調整の内訳は、通法が47.8%、体動抑制が41.6%、笑気吸入鎮静法が0.5%、静脈内鎮静法が9.6%、全身麻酔が0.6%でした。
学会認定
日本障害者歯科学会認定医研修施設
日本障害者歯科学会専門医研修施設
診療科からのお知らせ
障がいのある方の歯科診療は、特別な配慮が必要です。治療が苦手な方には心理的なアプローチを用いたトレーニングや、絵カード・写真カードを用いた視覚的支援などを行っています。また、聴覚障がいの方のために、当院には手話通訳が常駐しています。
治療時には、安全に治療を行うために体動抑制法を用いることがあります。また不安感や恐怖心を和らげたり、脳性麻痺に伴う不随意運動を減らしたりするために笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法、あるいは全身麻酔法などを用いることもあります。全身麻酔法で治療する場合は、障がいの状態に配慮した病棟に入院していただきます。どの方法を選ぶかについては、患者様や保護者の方とよく相談して決めさせていただきます。どのような障がいをお持ちの方にも安全で、質の高い医療を行っています。
むし歯や歯周病は進行するにつれて治療が難しくなります。しかし、これらの病気は、口の中の衛生状態を改善し、適切な予防処置を行うことによって、発生や進行を抑えることが可能です。むし歯が見つかる前から歯科を受診して歯みがきなどの衛生指導を受けられることをお勧めします。これにより歯科診療に慣れやすくなることもあります。
歯科治療がいったん終わった方は、家庭での口腔ケアを支援するために、定期健診やトレーニングを行っています。
まずは電話でご相談ください。
当センターでは、障がいのある方の思いを大切にし、府民の障がい者理解を深めていくため、「障害」の「害」の漢字をできるだけ用いないで、ひらがなで表記することとしています。 (例、障害者歯科→障がい者歯科)
スタッフ
写真 | 職名 | 医師名 | 専門分野 | 学会認定など |
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主任 部長 |
大西 智之 (おおにし ともゆき) |
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副部長 | 久木 富美子 (くき ふみこ) |
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医長 | 藤本 真智子 (ふじもと まちこ) |
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医長 | 藤代 千晶 (ふじしろ ちあき) |
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