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患者のみなさまへ

TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)

TAVI カテーテルによる最新の弁膜症(大動脈弁狭窄)の治療

重症の大動脈弁狭窄症は、胸痛、息切れ、失神などの症状がでると数年で死に到る進行性の病気で、従来、外科的人工弁置換術(手術)が唯一の延命効果のある治療とされていました。しかし、この病気は高齢者に多く、年齢や合併症などのためリスクが高くなり、手術を断念された患者さんが少なくありませんでした。手術と同じような効果を示す新しい治療法として開発された経カテーテル大動脈弁植え込み術(Transcatheter Aortic Valve Implantation:TAVI)1)は、手術に比べて体への負担が少ないため、このような患者さんでも治療が可能であり、海外では爆発的に症例数が増えてきています。 TAVIはフランスで2002年に1例目が行われてから、ヨーロッパ、北米を中心に、すでに10万人以上の患者さんに行われています。

経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter Aortic Valve Replacement:TAVR)とも言われています。

カテーテルの挿入場所により2つの方法があり、それぞれ経大腿動脈アプローチ(TF: trans-femoral)と経心尖アプローチ(TA: trans-apical)と呼ばれています(図1)。

図1

TAVIでは、術前評価から手術および術後管理までハートチームで行います。治療を成功させるためには、多職種からなるハートチームが良好に機能していなければなりません。

当院では、このTAVI実施に向けて心臓疾患に対する豊富な経験と知識を持ったスタッフ(心臓内科、心臓血管外科、麻酔科、臨床工学技士、放射線技師、手術室看護師、ICU看護師、理学療法士・・・)で構成されるハートチームを組織し、十分な準備とトレーニングを行って参りました。そしてTAVR関連学会協議会による厳しい審査をパスし、2014年9月1日に大阪府下で3番目(阪大病院、国立循環器病センターに次ぐ)、関西で6番目のTAVR認定施設として登録されました。

2014年10月8日には、当院で初めての経カテーテル的大動脈弁置換術が行われました。手術はスムーズに行われ、術後経過も非常に良好でした。(図2) 当院で、2015年3月までの間にTAVIを行った患者さんは、合計で14人です。30日の死亡率は0%と、良好な成績を維持しています。

図2

この手術は、重度の大動脈弁狭窄症の患者様のなかで、合併症などにより*通常の心臓手術(大動脈弁置換術)が困難な方が対象となります。
*通常の心臓手術(大動脈弁置換術)とは、胸の真中を切って、人工心肺装置を装着し、心臓を止めたうえで、大動脈弁を切除し人工弁で入れかえる手術です。この手術は大がかりとなるため、それ相当のダメージが体に加わります。したがって、ある程度体力に余裕がある方でないと受けることはできません。(図3)

図3

TAVIの利点

1.大きな切開を必要としない
太ももの付け根(そけい部)あるいは左の胸に、それぞれ数cmの皮膚切開を行い手術が行われますので、大きく胸を切る必要はありません。

2.人工心肺や心停止を必要としない
X線の透視下にカテーテルを用いて大動脈弁を留置する手術ですので、大がかりな人工心肺や心停止を必要としません。

3.麻酔時間、手術時間が短い
通常の心臓手術では半日かかることもありますが、本術式では順調にいけば手術時間の短縮が得られ、術中の体の負担がより少なくてすみます。

4.手術からの回復が早い
傷が小さいこと、手術による体のダメージが大幅に軽減されることから、術後のリハビリをより早期に始められます。

ただし、TAVIでは通常の心臓手術とは違う特殊な合併症(心損傷、血管損傷、血栓塞栓症など)が起こりうるため、術前の精密検査(カテーテル検査、高精度造影CT検査、呼吸機能検査など)、適応に関しての十分な検討(院内ハートチームによる検討)、手術術式のリスク評価を確実に行っております。
また、以下に示すような方は現時点ではTAVIが受けられませんのでご注意ください。

  • 透析中の方
  • 大動脈弁が二尖弁の方
  • 高度の弁逆流(4/4以上)がある方
  • 末期の悪性疾患がある方

重症、軽症を問わず大動脈弁狭窄症、並びに心臓疾患全般のご相談は、当センター心臓外来(平日、毎日)までご連絡下さい。

TAVIに関しましては、
月曜日 玉置、菊池(心臓内科)
火曜日 山田(心臓内科)
水曜日 山田(心臓内科)
木曜日 白川、金(心臓血管外科)
金曜日 山田(心臓内科)
が担当となっております。