内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」
ダビンチ 2台目の導入
今後低侵襲手術に対する社会の要望と急速な技術革新により，ロボット支援下手術が標準となる時代が想定されています。
当センターは、2022年7月に2台目の最新型da Vinci Xi サージカルシステム （以下 da Vinci Xi）を、近隣医療機関に先駆けて導入しました。
da Vinci Xiは、 ダビンチロボット支援手術で実施される多様な術式をフレキシブルにサポートすることを目的として、ダビンチのすべてのテクノロジーを統合した第 4 世代で最新型となります。
この第 4 世代システムには、 da Vinci サージカルシステムならではの高度な 3次元HD（1080p）ジビョンによる立体的視野が確保され、リスト機能付きインストゥルメントなどが、 フレキシブルなモジュール形式で統合されています。汎用性の高いda Vinci Xiは、これまでになかった精緻で低侵襲な手術の新たなスタンダードを打ち立てることが出来るようになっています。
３次元HD（1080p）カメラ
第 3 世代の da Vinci Si に比べ、 第 4 世代の da Vinci Xi では ３D画像かつより鮮明な視野で、毛細血管の一本一本やリンパ管、神経を確認しながら切離や剥離をすることが可能になっています。これにより、従来の腹腔鏡手術では見えなかった外科局所解剖を視認することができ、より正確で緻密な操作で根治性が高く、機能が温存できる手術が可能になります。
蛍光イメージングシステム
搭載されているカメラは、術者の操作だけで蛍光モードに切り替えることが可能です。このFirefly（蛍光）イメージングシステムは、蛍光色素（ICG）を用いて血流の評価が出来、術中に吻合する腸管の血流評価が可能で、より安全な吻合を実現します。
EndoWrist（da Vinci Xi専用鉗子）
多種にわたるEndoWristインストゥルメントは、 人間の手と比べ、 より器用に、 そして自然な動作範囲よりも広い動作範囲を得られるように設計されており、低侵襲性手術における縫合、 切開、 組織操作等を迅速かつ精密な手術を実現できます。ロボットにしかできない動き（関節の360°回転など）もでき、狭い空間でも自由に器具を操作することができます。従来の腹腔鏡手術では手元の動きと鉗子の動きは逆方向となりましたが、ロボット手術では同方向への自然な動きが可能です。ダビンチ・システム独自の機能で術者の手ぶれも防止されます。操作が容易で人間の手首や指と同じように操作できます。
エネルギーディバイス
第 4 世代の da Vinci Xi では、専用に開発した電気手術装置 ERBE VIO dV をシステムに統合しています。従来の電気メスに加えて微調整が可能であり、隣接する臓器を守りながら確実な止血とシャープな切離を実現しています。また、da Vinci Xi専用で開発したマルチファンクションなエナジーデバイスやステープラーなどの多様なインストゥルメントにより、術者が望む効率的で適切な手術操作が可能です。
ステイプラー
最新のステープリングテクノロジーである SureForm ステープラーでは、 全方位 60°屈曲可能で、 術者自身がコンソールから操作します。 また、 ソフトウェアによるフィードバックを行うことにより、 組織の厚みなどを加味してステープリングの再現性をより高めます。結腸切除では、良好な可動域と安定したステープラーによる体腔内での腸管吻合を行っています。体外に腸管を露出させないことで、蠕動運動の回復が早く早期社会復帰へつながります。
テーブルモーション（連動型手術台）
ダビンチをドッキングしたまま手術台が連動して動くことにより、手術を中断せず体位を変えることができます。重力を利用した臓器の圧排、術野とアクセスを常に適切に保つことで、手術時間の短縮につながります。
デュアルコンソール（2人の術者）
2台の術者コンソールを接続するデュアルコンソール機能を用いると2人の術者が手術中に交代しながら手術することが可能になります。資格保有者であれば、指導医のもと安全に手術を実施できます。ロボット術者の育成にも取り組んでいます。
最後に
当センターでは、da Vinci Xiの2台目を導入したことにより、より多くの患者さまに低侵襲でかつ精緻な手術を実践できるようになりました。今後も2台のda Vinci Xiを最大限に活用し「身体の大切な機能を温存しつつ、がんを徹底的に切除する手術」を提供して参ります。