腎生検について

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腎生検は腎疾患の診断と治療に必須の検査であり、腎生検の結果を参考に、最も適切な治療法を決定することができます。ただし、腎生検は検尿異常や腎機能低下が出現した比較的早期の段階でないと実施できません。腎機能低下がある程度進行してしまうと、腎臓が萎縮して腎生検が困難となり、たとえ腎生検を実施できても、腎臓の組織がかなり荒廃していて、積極的治療 (ステロイドや免疫抑制薬など)の適応とならないからです。検尿異常や腎機能低下を指摘された場合は、できるだけ早期に腎臓専門医を受診する必要があります。

1日腎生検については「トピックス:1日腎生検」をご覧ください。

腎生検の目的

  • 1尿蛋白/尿潜血の原因精査
  • 2腎機能低下の原因精査

腎生検は侵襲的検査であり、出血や他臓器穿刺などの危険性を伴いますので、腎生検によって得られる有益性 (診断と治療方針の決定)と危険性のバランスを考え、有益性が上回ると考えられた場合に腎生検を実施しております。検尿異常があるから、腎機能低下があるからただちに腎生検が必要であるということにはなりません。

腎生検の実際

1日目 入院 10:30 病棟説明、検査説明、午後から腎生検実施
生検後はベッド上安静で、生検後3時間まではあおむけで絶対安静。
3時間以降は、生検した側と反対側の立膝や看護師介助による生検側
を下にした側臥位や、45度程度のギャッジアップも可能。
2日目 安静解除 8:00~8:30 安静解除 (ベッドから降りることが許可されます) 。合併症の確認をします。
3日目 退院 11:00

退院後の生活

退院後1週間は過激な運動 (腰をひねったり、飛び跳ねる)は避けて下さい。
通常の家事や事務仕事は問題ありません。

腎生検入院の費用

腎生検は原則 2泊3日で実施します。結果を外来で説明することで入院期間も短くなり、検査費用を含めて患者さんの負担も軽くなっています。
仕事の都合や小さなお子様がおられるなど、どうしても短期間の入院で検査を希望される患者さんには、1泊2日で腎生検を実施します。

1割負担 2割負担 3割負担
1泊2日 1.5~2万円 3~4万円 5~6万円
2泊3日 2~3万円 4~5万円 6~7万円
5泊6日 4~4.5万円 7~8万円 11~12万円

過去の腎生検実施数

2019年までは年間100件を超えていた腎生検数ですが、2020年以降はCOVID-19の影響、さらに2022年11月~2023年2月はランサムウェアによる電子カルテシステム障害による診療制限があり、腎件数は減少傾向でしたが、2024年は72件と増加しています。

過去5年間における腎生検の合併症(2019年~2023年)

合併症 人数
輸血 0
血管内カテーテル治療 1*
肉眼的血尿 4

腎生検ガイドブック2020 (日本腎臓学会編)によると、全国の腎臓内科へのアンケ-ト調査の結果、腎臓内科で行われた腎生検例15,657件のうち腎生検後の肉眼的血尿は431件(2.8%)みられ、輸血を必要としたのは121 件(0.8%)、腎動脈塞栓術 (血管内カテ-テル治療)による止血処置が施行されたのは31 件(0.20%)となっています。当科で実施した最近の5年間の腎生検による合併症を下表に示します。肉眼的血尿の頻度は1% (4件/400件)であり、自然に軽快しています。

  • *: 急速な腎機能低下で透析導入となり、腎生検後8日目の透析中に突然腹痛出現。CTにて腎周囲出血と診断し血管内治療にて止血。
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