慢性腎臓病(CKD)について

慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)について

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慢性腎臓病は自覚症状がないまま徐々に腎機能が低下していく病気でCKDと略されます。CKDの原因には、糖尿病・高血圧症・慢性糸球体腎炎・メタボリックシンドロームなどがあります。2017年のNHKスペシャルで、CKDがピックアップされ、腎臓が寿命を決めるというテーマで特集が組まれました。腎機能が低下すると、末期腎不全から透析が必要になるということはよく知られていると思いますが、それ以外にも心臓病や脳卒中にも関連し、寿命と関係しているということが分かってきました (図1)。

図1.腎機能低下と心血管疾患発症のリスク
図1.腎機能低下と心血管疾患発症のリスク

1. 慢性腎臓病(CKD)のステージ

CKDは5つのステージに分類されます。糸球体濾過量(glomerular filtration rate: GFR)と尿蛋白量で分類され、ステージ1が一番良くて、ステージ5が一番悪いということになります。GFRの数字は、ご自分の腎臓の機能が何パーセントかと思っていただいていいと思います(100%を基準に考えて下さい)。

CKDステージ分類
原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン量
mg/day
mg/gCr
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300以上
高血圧、腎炎、多発性嚢胞腎、
移植腎、不明、その他
尿蛋白量
g/day
g/gCr
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15未満 0.15~0.49 0.50以上
GFR区分
mL/分/1.73m2*
G1 ≧90
G2 60~89
G3a 45~59
G3b 30~44
G4 15~29
G5 <15

CKDの重症度はGFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する。CKDの重症度が上昇するほど末期腎不全・心血管死亡のリスクがの順に上昇する。

  • *:GFRの単位は正式にはmL/分/1.73m2ですが、%と置き換えた方が理解しやすいと思います。

日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012

2. 糸球体濾過量(eGFR)を推算する式

ただし正確にGFRを測定しようとすると、2時間点滴をして、その最中に採尿と血液検査を繰り返し行わなければなりませんので、実際には血液検査のクレアチニン値と年齢からGFRを推定した推算GFRを使用しています。血液検査を受ければ推算GFRが自動的に表示されますので、尿検査と合わせてご自分の腎機能がどのステージになるか確認しておきましょう。

eGFR(mL/分/1.73m2)=194×年齢-0.287×血清クレアチニン-1.094
女性:×0.739

年齢と血液検査におけるクレアチニン値から糸球体濾過量を計算することが可能。
GFRの前についているeは推定するという英単語estimateの頭文字。
/1.73m2は標準的体格で補正した数値であるという意味。

CKDステージG1、2では、生活習慣の修正、血圧コントロールが中心となります。減塩 (1日6g未満)、体重管理、運動等が重要です。

CKDステージG3では、血清クレアチニンの上昇に加えて、血圧上昇、浮腫、軽度の貧血が見られます。ミネラル異常や代謝性アシドーシス (本来弱アルカリ性である体内が酸性に傾くこと)はあっても軽度であり、食事療法が遵守されていれば、ほとんど問題にはなりません。しかし、CKDステージG4 (eGFR15~30mL/分/1.73m2) ~G5 (eGFR<15mL/分/1.73m2)になると、血圧上昇、浮腫、貧血はより顕著となり、代謝性アシドーシス、高尿酸血症、カリウムの上昇・カルシウムの低下・リンの上昇などのミネラル異常、iPTH (副甲状腺ホルモン)の上昇などが見られるようになります。具体的な管理については当科ホ-ムペ-ジの「透析導入阻止を目指した慢性腎臓病の管理」をご覧ください。

CKDステージG5では、ステージG3、4の食事制限、貧血管理、骨代謝管理などを行っても、自分の腎臓の機能だけで生きていくことが困難となってきますので、腎臓の代わりをしてくれる治療、すなわち腎代替療法を検討する必要があります。具体的には、血液透析、腹膜透析、腎移植があります。詳しくは当科ホ-ムペ-ジの「腎代替療法の種類」「腎代替療法の選択とSDM」をご覧ください。

腎臓病の患者さんには、医師だけでなく、看護師、栄養士、薬剤師、保健師、家族、介護者等、様々な方が関わっています。医師だけでなく、様々な人とお話しして、腎臓の病気と向き合っていきましょう。

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