腎代替療法について

腎代替療法の選択とSDM (shared decision making)-患者さんならびにそのご家族とともに
考える療法選択-

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1. 腎代替療法選択外来

腎機能が10%程度に低下した時点で、近い将来腎代替療法すなわち透析療法 (血液透析と腹膜透析)あるいは腎移植について考えておく機会が必要となります。透析を始めるタイミングは、腎機能が0すなわち尿が出なくなってからでは遅いため (生命に危険が及びます)、腎機能が5~6%程度残った状態 (患者さんによっても多少異なりますが)が適切とされています。この残った腎機能を残腎機能と呼びます。この残腎機能をできるだけ温存し、自身のライフスタイルに合わせた透析ができることなどから、透析療法は腹膜透析で開始する腹膜透析ファ-ストが重視されています。ただし、腹膜透析は血液透析に比べてより自己管理を必要とするため、全ての患者さんにとって最良の透析方法とは言えません。当科では腹膜透析の管理が可能と判断される患者さん、あるいはご家族からのご支援がいただける患者さんには腹膜透析を第1選択として提案いたします。

血液透析の場合、1回4時間の治療を週3回行いますので、透析療法は治療というよりは生活の一部と考えていただくのがよいと思います。ですので、腎代替療法の選択はその後の患者さんの生活の質、ライフスタイルに大きな影響を与えるため、その選択には十分な時間が必要です。また、生体腎移植では、従来透析に導入された後に移植手術を受けることがほとんどでしたが、最近では透析に導入することなく移植手術を受けることも行われており (先行的腎移植)、早くからに移植医への相談と準備が必要となります。

腎代替療法選択外来は月2回2時間の枠 (現在は第2・4水曜日の15:00~)のなかで、専門医師による説明および専門看護師による血液透析、腹膜透析さらには腎移植の説明とDVDの視聴を行います。腎移植に興味を持たれた場合には、泌尿器科の腎移植相談外来を受診していただき、腎移植に関してさらに詳細な説明を聞いて頂きます。

なお、血液透析、腹膜透析、腎移植についての詳しい情報は、当科ホ-ムペ-ジの「腎代替療法の種類」をご覧ください。

2. SDM外来

SDMとはshared decision makingの略であり、医師あるいは医療者と患者さんならびにそのご家族が協働して (shared)、治療方針 (decision)を決定するプロセス (making)です。通常病気に対する治療方針はエビデンスに基づいて決定されます。エビデンスとは、ある病気に対して治療Aと治療Bのどちらが有効 (治癒率や生存率などで評価)であるかを検証した臨床試験の結果のことをさします。ところが腎代替療法 (血液透析・腹膜透析・腎移植)の選択においては、まず評価の指標が生存率というよりは、患者さんの満足度や日常生活の質 (QOL:例えば仕事や趣味を続けることができるのかなど)などが重要となりますので、それらをそれぞれの腎代替療法間で比較したデ-タがほとんど存在しません。ですので、患者さんの信条や価値観、現在の社会的立場、趣味やご家族の状況などさまざまな要因を考慮し、腎代替療法を治療という考え方ではなく生活の一部として考えた上で、どの療法が現時点で最適かを十分時間をかけて話し合う必要があります。

当科では、腎代替療法選択外来を受けたのち、さらにSDM外来にて専門看護師が腎代替療法選択のお手伝いをさせていただきます。SDM外来は毎週月・水・金曜日の15:00~ですので、これから腎代替療法を始められる患者さんとそのご家族の方にはぜひ受診をお勧めいたします。

3. 腹膜透析準備外来

腎代替療法選択外来ならびにSDM外来を受診後、腹膜透析に興味を持たれた患者さんに対して、専門看護師によるバッグ交換の手技や日常生活の具体的な注意点など腹膜透析を日常生活に取り入れた生活パタ-ンの説明を行います。腹膜透析開始後の日常生活のイメ-ジをつかむことができますので、安心して腹膜透析を始めることができます。腹膜透析準備外来は毎週月曜日と金曜日の15:00~ですので、腹膜透析に興味をもっておられる患者さんはぜひ受診をして下さい。

4. 腎移植相談外来

当院泌尿器科では1986年より腎移植を開始し、2024年9月末までに生体腎移植454件、献腎移植87件、計541件の腎移植を実施しております。

腎移植相談外来は、完全予約制で火曜日・水曜日・木曜日の10:00と14:00に診察枠を設け、日本移植学会認定の腎移植認定医および認定レシピエント移植コーディネーターが、腎移植を希望する患者様ならびに生体ドナーの方、そしてご家族が安心して腎移植を受けることができるよう、十分な情報提供を行い、チームで支援をしております。

また、泌尿器科と腎臓・高血圧内科はもちろん、近隣基幹病院の腎臓内科とも綿密に連携を図ることで、近年増加している透析療法を介さず腎移植を行う「先行的腎移植」にも積極的に取り組んでおります。

腎移植相談外来の受診をご希望の場合、地域連携診察室で初診予約対応をしておりますので、かかりつけ医の先生にご相談いただきますようよろしくお願いいたします。

腎移植相談外来の風景
腎移植相談外来の風景
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