1ヶ月の透析治療の医療費は、患者さん一人につき外来血液透析では約40万円、腹膜透析では30~50万円程度が必要といわれています。これは1年で約500万円の医療費がかかる計算になります。
このように透析治療の医療費は高額ですが、患者さんの経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立しています。
必要な手続きをすることで次のような制度を利用することができます。
の4つがあげられます。
特定疾病療養受療証
特定疾病療養受療証は高額療養費の特例措置です。高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
透析医療は1か月に40万という高額な医療費が継続的に必要となる治療法であるため、高額医療費制度の特例措置となっています。
自己負担 | 透析治療の自己負担は1か月1万円が上限となります。 ただし、一定以上の所得のある人は2万円が上限になります。 |
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手続き | 加入している保険者(健康保険組合や健康保険協会、共済組合、市町村国民健康保険課)や後期高齢者広域連合の窓口で申請します。
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身体障害者手帳
身体障害者福祉法に規定された障害基準に該当する人に交付されるものです。障害福祉サービスの利用が可能になります。
内因性クレアチニンクリアランス値が10mL/分未満、又は血清クレアチニン濃度が8.0mg/dL以上の場合に1級となります。
身体障害者手帳は、市区町村が発行するため、控除の程度は市区町村で異なります。たとえば東京と京都、大阪など場所が変われば控除の程度がかわるということです。透析を開始して以降の転居時には、転居した先の市区町村窓口に申請が必要です。
自己負担 | 1級の場合は、大阪府内では1医療機関での支払い上限が1日500円になります。 また複数の医療機関にかかられた場合、支払い合計の自己負担上限額は1か月3,000円です。 |
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手続き | 市区町村の障害福祉サービス窓口で手続きします。
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自立支援医療 (更生医療)
18歳以上の身体障害者の障害を軽減して、日常生活能力、職業能力を回復・改善することを目的として行われる医療です。
対象は身体障害者手帳を所持しており、手術等の治療により、日常生活能力、職業能力を回復・改善する可能性の認められる患者さんです。
自己負担 | 1割負担となります。所得に応じた負担上限額が設定されます。 |
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手続き | 市区町村障がい福祉課が窓口です。 患者さんが申請書を依頼し、病院に提出。医師が記載します。 |
透析を始めてからの就労に関してですが、透析治療をうけていても就労可能です。しかし病気のため就労が困難となったときには、障害年金や傷病手当などの所得保障があります。
障害年金・傷病手当金
透析を始めても就労可能ですが、合併症などにより働けなくなった場合に助成されるのが障害年金です。
原因となる疾患の初診時に加入している年金(国民年金・厚生年金)により、障害の程度に応じて障害年金が支給されます。
手続き | 年金事務所・住民票のある自治体の保険年金窓口。 ただし、障害年金の受給には、年金の未納がないことなど、いくつか条件があります。窓口で確認をするようにしてください。 |
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傷病手当金は、サラリーマンや公務員など、雇用されている健康保険の被保険者の方が、病気やケガで仕事を休み報酬が得られない場合に支給されます。
休業1日につき、標準報酬日額の2/3が支給され、受給期間は支給開始日から1年6か月です。例外ですが、国民健康保険の場合は傷病手当金の制度はありません。手続きは健康保険窓口で行います。
以上が、透析治療を受ける際の公的補助でした。特に特定疾病療養受療証と身体障害者手帳は、透析を継続するのに重要な補助であり、忘れずに申請するようにしてください。