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やすらぎ通信
ウェブマガジン

2023.7

ドクターコラム
「放射線」は怖い?怖くない?

放射能は怖い?怖くない?

「放射線」と聞くと、皆様の中には、原子力発電所の事故や原子爆弾による被ばくを思い浮かべ、放射線に怖いイメージを抱かれる方がおられるかもしれません。医療で使用される放射線はそれらとは全く異なり、病気を発見したり治療したりするために厳格に管理し、適正に使用され、医療の現場で活用されています。


 画像診断科で扱う放射線業務には、①胸、骨、乳房などのレントゲン写真、胃のバリウム検査、全身のさまざまな部位のCT検査といったX線を用いた画像診断、②カテーテルによる治療に代表される体の中の管をX線で透かし見て行う手技、③放射性同位元素から出るガンマ線で画像診断を行う核医学検査があります。これらのX線やガンマ線といった医療用放射線による被ばくは、線量の値が低いので、低線量被ばくと呼ばれ、体に浴びる放射線の量は検査や手技によって様々ですが、発がんのリスクが上がることが知られている線量よりもはるかに低い線量です。低線量被ばくが人体におよぼす影響は、未だ十分に解明されていませんが、大人では、環境や生活習慣(たばこ、飲酒、食事、肥満、運動不足など)が人体におよぼす影響と比較して小さいと考えられています。


 


医療で放射線を用いる前提として、「放射線を用いて病気を発見し、治療する。」という大きなメリットがあることが必須であり、主治医の先生はそのメリットを十分に検討された上で検査や治療の依頼を出されています。放射線検査やカテーテルによる治療では、関連する学会を中心に「診断参考レベル」と言われる標準的に使用される放射線量の基準が示され、必要にして十分な最適の量の放射線を人体の限られた部位にあてて検査や治療を行うことが求められており、当センターでもこれに照らし合わせて検査や治療を行い、患者様が浴びた放射線の量を記録・管理しています。このようにして、低線量被ばくといえども、人体に対する放射線の影響を最小限にとどめるべく、検査や治療を行っています。
患者の皆様には医療で放射線がどのように利用されているかご理解いただき、放射線に対する不安を少しでも減らしていただきたいと私どもは望んでいます。ぜひ、インターネットで私どもの作成したページも併せてご覧いただければ、実際の検査や放射線被ばくについて理解を深めていただけると思います。

当センターでの被ばく線量と最近の傾向

放射線を用いた検査や治療で、当センターでの患者様の被ばく線量の最近の変化を調べてみました。
法律や学会のガイドラインの遵守、および、撮影技術の進歩によって、胸部のCT検査では、オレンジ色のグラフに示すように、50%近くの被ばく線量の低減に成功しています。
また、血管のカテーテル治療では、患者様個人個人の病気の進行度や血管の形状によって治療の手技に要する時間が左右され、手技に時間がかかると、その分、被ばく線量は多くなります。手技に熟練を要する心臓の冠動脈カテーテル治療で調べてみますと、当センターでは、医師や技師の手技の熟練や器具の進歩によって、全国の標準的な値より20%以上低い被ばく線量で治療が行えていることがわかりました(青いグラフ)。

 放射線を用いた検査や治療で、当センターでの患者様の被ばく線量の最近の変化を調べてみました。
法律や学会のガイドラインの遵守、および、撮影技術の進歩によって、胸部のCT検査では、オレンジ色のグラフに示すように、50%近くの被ばく線量の低減に成功しています。
また、血管のカテーテル治療では、患者さん1人ひとりの病気の進行度や血管の形状によって治療の手技に要する時間が左右され、手技に時間がかかると、その分、被ばく線量は多くなります。手技に熟練を要する心臓の冠動脈カテーテル治療で調べてみますと、当センターでは、医師や技師の手技の熟練や器具の進歩によって、全国の標準的な値より20%以上低い被ばく線量で治療が行えていることが青色のグラフでわかりました。




 冒頭に述べた「放射線=怖い」のイメージは少し変わったでしょうか?
医療で用いられる放射線は適正に管理・使用されており、「病気を発見して治療する」という非常に大きなメリットをもたらしてくれます。ただし、不必要な被ばくは絶対に避けなければいけません。患者様の被ばく線量の低減化・最適化を今後も継続して行っていくことが私どもの責務であると考えています。

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