ごあいさつ
座ったり、歩いたり、移動するという日頃何気なくおこなっている基本的な動作が、股関節や膝関節などの下肢の大関節に障害が生じると、強い痛みをともなったり不自由になり、日常生活の質(QOLと言います)を悪化させる重大な原因となります。治療には、“生活指導”・“装具”・“リハビリテーション”・“薬でのコントロール”などの手術以外の治療法(保存治療と言います)や自分の関節を残したまま関節の安定に有利な形に修正する”骨切り手術“など、病気の進行度によりいろいろな治療法があります。病気の状態が進行してしまった場合、人工関節治療が痛みを取りのぞき歩く力をとりもどすきわめて有効な治療法になります。
現代の股関節・膝関節の人工関節治療は、安全性・長持ち・機能の面からも自信をもって患者様に提供できる治療レベルです。しかし、すべての患者さんに100%近く確実に、満足度の高い人工関節治療後の生活を実現していただくために、以下の3つのSが重要と考えています。
Safe
安全な治療
患者様には股関節や膝関節が悪いだけでなく、心疾患や糖尿病など合併症をお持ちの方、年齢が高く全身的な機能が低下している方などが多くおられます。入院中・退院後も、心臓や肺・腎臓など全身状態の不測の変化にも、中核総合病院の利点を活かしチーム医療体制のもと迅速に対応できるよう心がけています。
Superior
最新の高水準の治療
手術後一生使っていく人工関節の耐久性や合併症予防を考えると、単に多くの人工関節の手術を速く行い、短期間の入院治療期間を求めるだけでなく、患者さんごとに異なる関節の形に適するタイプの人工関節を選択し最適な位置・角度にしっかり固定することの方がはるかに重要です。私どもは付加的な時間と労力を要しますが、3次元コンピュータ手術計画とナビゲーション手術の先進的な治療技術を用いて、患者さんごとに最適な人工関節や骨切り手術治療の実践に取り組んでいます。
Sustainable
永く持続的な人工関節のケア
関節手術は、手術治療時期だけがすべてではありません。某銀行CMの『ながーい、おつきあい』ではないですが、一人ひとりの患者さんに手術後10年、20年、30年後もお元気で人工関節に支障がないか診療できる体制を整えています。
これらを実現するために、大阪急性期・総合医療センターでは、平成23年より人工関節センターを設立し、整形外科・リハビリテーション部・看護部門・手術部など関連する専門スタッフによりチーム医療で集中的に人工関節治療にあたらせていただく体制をとっております。関節の痛みにお困りの方が、治療によりお元気になり充実した生活を行えるようになることは私たち医療スタッフにもかけがえのない喜びとなります。当センターでの診療・治療には全力であたらせていただきますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
主な経歴
- 1989年
- 大阪大学医学部卒業
- 1997年
- 大阪大学医学大学院 医学博士課程修了
- 2000年
- 大阪大学医学部整形外科 助手
- 2008年
- 大阪大学医学系研究科運動器医工学治療学 准教授
- 2016年
- 大阪急性期・総合医療センター
整形外科 主任部長/人工関節センター長
資格と所属学会
- 日本整形外科学会 専門医
- 日本整形外科運動器リハビリテーション 認定医
- 日本股関節学会(評議員)
- 日本人工関節学会(評議員)
- 中部日本整形外科災害外科学会(評議員)
- 日本CAOS(コンピュータ支援整形外科))研究会(世話人)
- 大阪大学医学部 臨床准教授