
当センターでは、全身検索型画像診断AI『ERATS(イーラツ/ER Automated Triage System)』を臨床に導入し、効果検証を行う臨床研究を2025年9月よりスタートしました。
日本では1日平均2万件、およそ5秒に1回の頻度で救急車が出動し、その件数は増加しています。その中でも交通事故などのケガ(外傷)による死亡は若年者の死亡原因の上位を占めています。重篤な外傷患者の約9割が出血死とされ、いかに『早く』『的確な』止血治療を行うことができるかが外傷診療の肝となります。
高度救命救急センターは、2011年8月、外傷患者の救命に必要な全ての『検査』と『治療』を同時に行うことができるハイブリッドERという救急初療室を世界で初めて臨床での運用を開始しました。これにより、CT検査、手術、カテーテルを同じ場所で行うことできるようになり素早い止血治療が可能になりました。しかし、重症患者の全身状態を知るために撮影されるCT画像は、1人につき数百枚から時には千枚を超え、医師がCT画像を1枚1枚読み解くには平均5分ほどの時間がかかります。

『ERATS』は、1分1秒を争う外傷診療において、膨大なCT画像の中から出血などの異常発生箇所を10秒以内に抽出することができ、医師のCT診断を支援します。岡田医師が率いる研究チームは、6年をかけて26施設の大学病院・救命センターとの共同研究を進めてきました。『ERATS』は、1万症例120万枚の画像データを用い多段階の機械学習によって実現した、全身を網羅的に検索する能力を持つ最先端AIです。
“人とAIのHybrid”により外傷救命への効果を検証し、ハイブリッドERと『ERATS』のコラボレーションにより、今よりもさらに高い救命率を目指してまいります。


外傷患者のCT診断を支援する最先端AI『ERATS』の効果検証開始に関する記者会見を9月8日に当センターで行いました。

『ERATS』は、「EXPO2025年 大阪・関西万博」の大阪ヘルスケアパビリオン リボーンチャレンジにも、2025年6月24日から30日の7日間、出展されました。
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