腎生検について

腎生検とは腎臓の組織の一部をとり、
顕微鏡で評価する検査

患者さんに適切な治療法を決定するための
最も重要な検査になります

当科では2泊3日で
腎生検を実施しております

当科では患者さんへの負担を軽くするために、結果を外来で説明することで入院期間を短くしており、2012年4月より腎生検は原則2泊3日で実施しております。

仕事の都合や小さなお子様がいらっしゃるために、どうしても短期間の入院で検査を希望される患者さんには、1泊2日で腎生検を実施します。

また結果説明時には顕微鏡でみた患者さん自身の腎組織の写真をお渡ししています。

腎生検の目的
(1)尿蛋白 / 尿潜血の原因精査 
(2)腎機能低下の原因精査
腎生検の様子

患者さんへの有益性を考えて
実施する腎生検

腎生検は侵襲的検査であり、出血や他臓器穿刺などの危険性を伴いますので、腎生検によって得られる有益性(診断と治療方針の決定)と危険性のバランスを考え、有益性が上回ると考えられた場合に腎生検を実施しております。

検尿異常や腎機能低下があっても、ただちに腎生検が必要であるとは限りません。

腎生検入院スケジュール

  • 1日目
    10:00 入院
    病棟説明、検査説明
    午後
    午後より腎生検実施。腎生検後はベッド上での安静が必要です。生検後3時間までは仰向けで絶対安静、3時間以降は生検した側と反対側の立膝や、看護師介助による生検側を下にした側臥位程度が可能となります。また45度程度のギャッジアップも可能です。
  • 2日目
    08:30 安静解除
    安静解除(ベッドから降りることが許可されます)。合併症の確認をします。
  • 3日目
    10:00 退院
    退院後1週間は過激な運動(腰をひねったり、飛び跳ねるなど)は避けて下さい。通常の家事や仕事は問題ありません。

腎生検入院概算費用

3割負担の場合 2割負担の場合 1割負担の場合
2泊3日 3割負担の場合 5~6万円 4~5万円 2割負担の場合 4~5万円 3~4万円 1割負担の場合 2~3万円 1.5~2万円
1泊2日 4~5万円 3~4万円 1.5~2万円

腎生検の重要性

慢性腎臓病に対する正しい治療を行うためには腎生検が不可欠な検査です。

検尿や血液検査、腎機能検査、超音波検査によって腎臓のことはある程度判りますが、腎臓の組織検査(腎生検)を行わない限り病名や病状(活動性)を正確に知ることは、我々専門医でも不可能です。

2016年の腎生検数は200件に到達し、当科は全国でも屈指の腎生検数となっています。

年間腎生検数

0
50
100
150
200
250

2012年~2016年における
腎生検の合併症

合併症 人数
輸血 2名
血管内カテーテル治療 3名(内2名に輸血)
肉眼的血尿 1名

止血のために血管内カテーテル治療を必要とした患者さんが3名、うち2名には輸血をしております。

2012年~2016年における
IgA腎症に対する扁桃腺摘出術

治療法 患者数 蛋白尿陰性化 尿蛋白と尿潜血ともに陰性化
扁桃腺摘出 9名 6名 6名
扁桃腺摘出+1年間の
ステロイド療法
63名 52名 37名

5年間に腎生検でIgA腎症と診断された患者さんは117名で、そのうち72名に扁桃腺摘出術を行いました。

検尿が正常化した患者さんは43名(60%)であり、非常に効果的な治療法であるという印象です。

なお、IgA腎症の治療方針は腎生検で得られた腎炎の活動性、蛋白尿や腎機能、年齢等を考慮し、総合的に決定しています。