人工膝関節置換術

人工膝関節には関節面すべてを換える全置換術と半分だけを換える単顆型置換術があります。

単顆型人工膝関節置換術

これは関節面のうち傷んだところだけ(通常、内側の半分だけ)を置換する人工関節です。利点は手術の傷、骨切りの量が少なくてすむ、術後の回復が早く、曲がりがよいところです。適応としては、内側に限局した関節症の患者さんが対象となり、変形が強い場合にすると、痛みが十分取れないことがあります。また長期の耐久性は悪くはありませんが(10年の耐久性が90%)、次にあげる全人工膝関節置換術には若干劣ります。

単顆型人工膝関節置換術

全人工膝関節置換術

これは傷んだ軟骨、骨を人工膝関節の形に合わせて薄く削り、金属、セラミック、ポリエチレンでできた人工関節を自分の骨の上にしっかりと固定する手術です。約25年の歴史があり、日本でも年間約45000件の手術が行われています。手術治療の中で最も痛みをとる効果が高く、また変形の矯正が行え、安定した手術です。

人工膝関節の固定には通常、骨セメントという樹脂(物質名:ポリメチルメサクリレート)を使用する場合(セメント固定)とセメントを使用せず固定する場合、その組み合わせ(ハイブリッド固定)がありますが、原則的にはセメント固定を行います。ポリメチルメサクリレートは従来歯科材料として使用されていたものを人工関節に応用したもので、人工関節分野では約30年の歴史があり、強固な固定が得られる優れた材料です

人工膝関節の耐久性は、10年間ゆるみがなく、日常生活が過ごせる可能性が95%以上あり、長期に安定した手術法です。ただどういう場合に弛み起こるかということに関して様々な研究がなされておりますが、一番ゆるみに関係するのは体重であることがわかっています。変形性膝関節症の原因にも肥満が大きく関係しますが、術後も重要です。肥満の方は減量を心がけましょう。減量のためには多少の食事制限と運動が必要です。一番理想的な運動は水中運動で、プールの中を歩くのがおすすめです。

人工膝関節置換術に伴う危険性(合併症)はいずれも頻度の低いものです。術後感染(病原菌により膿んでしまう事)で人工関節周囲は血流が乏しいなどの理由で、いったん感染を起こしてしまうと非常に治りにくい性質があります。そのため、当院では感染予防策として、手術室はクリーンルームを使用し、術者も宇宙服のような特別な手術着を着用して術者から細菌が入らないようにしています。また予防的な抗生物質の全身投与や骨セメントへの混入などできるだけの事をしており、感染の可能性は1%以下です。万が一感染が起こった場合でも、早く発見して処置を行えば治る場合も多いです。

術後に下肢の静脈内に血のかたまり(血栓)ができる深部静脈血栓症が起こることがあります。大きな血栓ができ、それが血液中に流れ出し肺の血管ににつまると、最近話題になっているエコノミークラス症候群(飛行機で長時間座っていて起こる血栓・肺塞栓症)を起こすことがまれにあります。 これの予防には早く動くことが最も重要で、当院では積極的に早期リハビリに取り組んでいます。

(術後3ヶ月・皮切12cm)

出血と輸血:人工膝関節置換jは多くの出血を伴う手術ではありませんが、時に術後に多少の出血があります。当院では術後は出た血液を体に戻す術後回収式自己血輸血を行います。これにより輸血はほぼ回避できます。

全人工膝関節置換術
全置換型人工膝関節の
レントゲン写真

術後のリハビリは、当院ではリハビリテーション部と協力してしっかりとしたメニューで取り組んでいます。術後2日目に歩行練習を開始し、ほとんどの方は術後3週間で一本杖歩行が可能になり退院できます。

Get the Flash Player to see this player.

左右同時に人工膝関節置換術を受けた方です。両膝の痛みとかなりの凹脚変形があり、膝の曲がり・伸びも制限されていましたが、術後2週間で歩行時の痛みも軽減し、脚はまっすぐになって、曲げ伸ばしも改善しました。

人工関節センター

大阪府立急性期・総合医療センター

〒558-8558 大阪府大阪市住吉区万代東3丁目1番56号
電話番号 06-6692-1201(代表)FAX番号 06-6606-7000

Copyright© Osaka General Medical Center. All Rights Reserved.